痴呆性疾患についての説明
- 痴呆を理解するために
- 痴呆とは何か(医学的な説明)
痴呆とは、一度獲得した知的機能が著しく低下して、自立した生活が困難になっている状態です。
痴呆の原因の主なものとしては、アルツハイマー病等の脳の変性疾患と脳血管障害があります。その他にも、身体の病気や精神の病気、生活環境の状態によって痴呆の状態を呈することがあります。これらの中で、治療によって改善の可能性のあるものについては、「治療可能な痴呆」として、いくつかのものが知られています。
- 痴呆の始まり
どのような時に痴呆症を疑うでしょうか。健康な人でも年齢とともに物忘れをする頻度は増えてきます。朝に何を食べたか思い出せないこともあります。しかし、食事をしたこと自体を忘れてしまっていたりすることがあれば、病気による記憶の障害を疑わなければなりません。服が上手く着られない。日付や曜日を頻繁に間違う。知っている場所で迷子になるなどの症状も痴呆に見られる症状です。
物を置いた場所を忘れてしまって、誰かが盗ったと言って大騒ぎしたり、疑り深くなってしまう等と言った精神症状が目立つ場合もあります。呆け老人をかかえる家族の会理事の杉山孝博先生の書かれたものの中には、「より身近なものに対して痴呆症状がより強く出る」と書かれていました。普段接しているお嫁さんに対しては、激しい症状を示すのに、外から来たお客さんに対しては、きちんとした対応を示す場合もあるのです。痴呆症の人を評価する場合には、この点も考慮する必要があります。
- 痴呆の経過
アルツハイマー病では、時間と共に病気は進行します。一方の脳血管障害による痴呆症は、脳血管病変の進行と脳卒中などの再発によって急に悪くなることがあります。階段状の経過を示すと表現されることもあります。
アルツハイマー病では、記憶障害に加えて、大脳皮質の障害部位によって失行、失認などの症状が加わってきます。また、初期から中期にかけては、精神的な混乱状態(不穏、落ち着きの無さ、興奮、被害妄想、せん妄など)が見られることが少なくありません。末期には、大脳皮質の障害から運動機能にも障害が加わり、寝たきりの状態に至る場合もあります。
- 痴呆の治療について
痴呆の中核症状である知的機能の障害を治す薬は、現時点では存在しません。従って、病院での痴呆についての医療の目的は、前述の「治る痴呆」を診断して治療することと、痴呆に伴う精神的な混乱状態を治療すること、さらに病気の進行を遅らせるための治療を行うことです。
- 痴呆の予防、進行を遅らせる方法は無いか?(これについては別にまとめる予定です)
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